第1回目線Lab.開催レポート
- 副代表 吉岡
- 2019年12月19日
- 読了時間: 12分
2019年11月16日(土)に第1回目線Lab.「市民が自分たちで地域政党をつくるということ。」を開催しましたので、ひとまずブログにてご報告いたします。
日時 2019年11月16日(土)13:30〜16:00
場所 米子食品会館2階
参加費 一般600円
会員300円
講師 品川・生活者ネットワーク 品川区議会議員 吉田ゆみこさん
トークセッション登壇 品川・生活者ネットワーク 品川区議会議員 田中さやかさん
参加者 32名(報道関係者含む)
⒈ 年齢構成
40代:3人 50代:3人 60代:5人 70代:4人 80代:3人
⒉ 居住地
米子市:10人 境港市:1人 大山町:1人 南部町:1人 日野郡:2人
大田市:1人 徳島市:2人
⒊ 会員の有無
会員:12人 会員外:6人
⒈開会あいさつ 福嶋浩彦代表

今回は地域政党ってなんだろう?ということで中心になり得る人と勉強をしようという趣旨で開催。
私たちが地域政党を改めて意識したのは、目線ネットワークへの組織変えを踏まえ、改めて市民が地域政治に参加していくための主体が必要ではと考えたから。
特に政策づくりを議員と一緒にやっていくような主体が必要。
既存政党のほとんどは県連会長が国会議員。支部の代表も国会議員か候補者。
そういう政党の地方組織は地方政治をやるためのものではなくて、国政選挙のための手足になっている。それでは地方政治をしっかりやる主体にはなり得ないし、地方分権にもならない。
国政政党の分権改革を期待するだけでなく、市民が自分たちの主体を作っていこうとすることが大事。
一方で地域政党というと、首長が多数派形成して、自分の自治体を思うようにするために作っているものが多い。本当に市民が地方政治に参加するために地域政党をつくっているというのは生活者ネットワークぐらいしか思いつかない。
今日は、吉田議員のお話を聞いて一緒に議論をしていきたい。
2.品川・生活者ネットワークとしての「地域政党」のあり方
講師 吉田ゆみこ品川区議

大事なことは、地域で市民が決める
市民の声はなかなか政策決定の場に届かない。
政治の主体は市民である。
市民には「お任せにしない」責任がある。
国政はとても大事。でも日々の暮らしもとても大事
今の品川区政は「国政も大事、区政も大事」になっていない。
区政も国政の方を向いている。
区政がちゃんと区民の方を向いていたら生活者ネットはできていないかも。
田中議員が「子どもが保育園に入りにくいっていう問題に自民党も共産党も公明党もないですよね!」はその通りだ。
私たちは、日々の暮らしのことを市民と話し合って決めるのが得意だから、
優先的に扱っている。
日々の暮らしのありようのつみあげが国を形づくる。
そういう意味で国政も大事。
子育て・介護・教育・食の安全・環境問題から取り組んでいった。
地域での市民参加の議論の中で解決できることが沢山ある。
「区民協働のまちづくり」は、
意見を聞いて形式的に取り上げるだけ。
品川区の行政は基本的に、個別に意見は聞くが議論の場は設定しない。
反対が起きてから説明するよりも、
最初から充分な議論を重ねた方が皆んなの納得度の高い政策になる。
首長に対しては是々非々の立場なのに、分かってもらえない。
国政と同じように“区長与党” ”区長野党“みたいな感じで語られてしまう。
中学で二元代表制を習ったのに。
職員は密かに応援してくれている人もいる。
日々の運営、活動について
運営するメンバーの合意を大切にしている。
毎月の運営委員会、政策委員会、広報委員会をなんとか開きながら、
皆んなの合意をつくり広げるようにしている。
議員をひとりにしない。
議員はone of them。
有権者から信託を受けた公人としての立ち位置を重要視しながらも、
議員の活動はメンバーの合意を大切にしている。
新しい人をどう合意の場に入れていくのかは課題。
経験のある立場の人が譲るべきではないか、と吉田は考えている。
地域の人々の課題を掘り起こす。
調査し、専門家の話を聞く。
同じ立場の人の話を聞く。
ということを経て、
一人の課題を大ぜいの課題にしていくことで、
気づいた人が市民自治に参加していくという機能もある。
調査活動はとても面白い。
大変だが、議員としての視野を広げることに役立っている。
東京全体の課題を把握することで区政にも反映できる。
調査は生活者ネットの地域政党のあり方として大事と思う。
東京生活者ネットワークの一員として都議をどんどん使う。
都議会議員に質問をしてもらったり、文書質問の制度を活用している。
都の問題に関しては調査してもらったり、ヒアリングを設定してもらっている。
地域は獨立して活動しているが、
一方では東京全体に広がるネットワークを力にして活動している。
東京ネットの作ったニュースを利用して広報活動もしている。
運営にかかわるお金はすべて自分たちで
選挙資金は市民のカンパ。
「地盤・看板・カバン」にあらわれる金に物を言わせて当選を勝ち取る既成政治への
批判であると同時に、より多くの人が力を出し合って選挙に関わる仕組みでもある。
生活者ネットでは立候補に当たってお金の準備は必要ない。
誰でも立候補できる。
議員報酬の中から「契約費と諸経費」を除いた金額を資金管理団体に寄付して、市民の政治活動に活用している。
ローテーションという考え方
議員のローテーションは「議員を職業化、特権化しない」ためだが、
批判もある。
私個人としては、必要だと思う。
長く続ければ続けるほど専門性は増えるが、一方で無意識に行政の側に立つなど発言に疑問も出てくる場合がある。また、後任を見つけるのが大変になることもあり、3期が妥当ではと吉田は考えている。
生活者ネットワークの立ち上げについて
生活クラブ生協の活動から始まった。
課題解決型のまちづくり生協とは?
自分たちの欲しい食材を生産者とともに作ってそれを共同購入するという事業を通して市場に影響を与えていくことを目指している。
つまり共同購入事業を通して社会を変えて行くことが目標。
しかし、生活者ネットワークを立ち上げる以前、市民活動として取り上げる食の安全や水資源の大切さ、ゴミの減量の問題は無視される実情があった。
最初の都議会議員がごみ問題で質問した時「台所の問題を議会に持ち込むな!」というヤジが飛んだエピソード。
私たちの問題を解決するために私たち自身が議会に行くしかない!
ということで、
1979年練馬区で初めて議員が誕生
1985年都議会議員誕生
1994年品川・生活者ネットワーク設立
1995年品川区初の生活者ネット議員誕生
2015年田中さやか、吉田ゆみこ両議員が誕生
生活クラブ生協は課題解決をおまかせにしない。
生活者ネットワークの立ち上げも「自分たちでやっちゃおう!」という当然の帰結。
自分たちで金融の仕組みもつくる。
働く場もつくる。
自分たちの課題は自分たちでなんとかするという当然の流れの中に、
生活者ネットワークの活動もある。
完全な専門家にせず、専門性を持った人をどんどん地域に広げて行くというのは、
「市民が自分たちでまちを自治する」という大きな目的のもとにある。
原発への対案「風車 夢風」は一人では無理でも大勢でやるとできるという大きな成功体験。
一人で政治に立ち向かうことはできないが、一人ひとりの市民が多勢集まって、
こういう仕組みを作って議会に行けば、
たとえ自分が議員にならなくても、
議会に対して物申すひとりになれる。
という意味でとても面白い組織だと思う。
それを地域政党だと捉えている。
3.トークセッション
登壇者 吉田ゆみこ品川区議
田中さやか品川区議
福嶋浩彦代表

まず福嶋代表の解説から
国政vs日々の暮らしなら、日々の暮らしが大事。
日々の暮らしを良くするために国政も区政もあるが区政の方がより近い。
区政(市政)は、本当に市民一人ひとりの思いから出発するもの。
国はそういうわけにはいかない。
国民を全体的にみて考えていく国政と、市民から始まる自治体が、
緊張感を持って対峙しながら社会を作っていくことが大事。
さらに言えば、自治体がベースになり、国の制度を合わせる方がいい社会になると思う。
実際は自治体が国の下請けになっていて、
国と対峙する形にもなっていない。
「地域政党」は一人ひとりの市民から始まる地方政治をきちんとやることが、一番基本にある。
市民が選挙で議員を選ぶ。
議員は支持者の要求を代弁するのが最初の仕事。
ただし、支持者の要求を代弁して行政や首長に実現するよう迫るのではなく、
支持者の要求を代弁する議員同士が討議をして、(最後は多数決で)合意をつくるのが
本来の議会。
この合意によって首長や行政を動かす。
これをやれていないのが大きな問題。
個々の支持者の要望を聞いて議員が個人で政策化して発言するのではなく、
これをみんなでやるのが「地域政党」。
つまり市民が主体的に政策作りに参画する仕組みが「地域政党」。

福嶋代表 自由に議員間討議ができるか?
吉田議員 議員間の討議がほとんどない。
田中議員 討議をしませんか?と提案したら、意見表明はできた。
福嶋代表 議院内閣制と勘違いしている人が多い。
自治体は直接首長も議会も選ぶから、議会は議会で議論して、その結論で
首長(行政)を動かす。議員と首長のやりとりが議会の中心ではない。
参加者との主な意見交換

是々非々について
吉田議員 共産党と賛否が同じだと”野党”
意見をちゃんと聞いてもらえれば、
同じ採択でも中身が違うのはわかるはずだが。
福嶋代表 自治体議会は、みんな首長の野党が本来ではないか。
地方においては政党政治はいらないのでは?
吉田議員 生活者ネットワークの議員は少数だが紛れてしまうということでもない。
組織が上下ではなくネットワークになっている。
東京の色々な自治体で声を上げ実現できていることがある。
議員の周りに市民の運動があることで力を発揮する。
ヒエラルキー型からネットワーク型に変える方法は?
福嶋代表 スウェーデンではコミューン(市)に中央と同じ名前の政党があるが、
中央から独立していて、政党交付金も国でなく市から出ている。
日本で大きな政党を分権化していくのは、なかなか実現が難しい。
まずローカルパーティー(地域政党)で実績をつくるというのも
一つの方法。
議員間討議での議員ひとりひとりの自由度は?
井上さん(品川ネット会長、元区議)
会派としての決定を持って委員会に臨むのが原則。
議員間討議を実現するためには、委員会の翌日に採決であれば、
会派に持ち帰って話し合い採決に臨めると自由度が増すのでは?
福嶋代表 会派拘束もなくして議員の自由度を高める。
会のメンバーとの相違があればまた議論すればいいのでは?

アンケートの結果より
講演会を聞いて今までと考えが変わったか?
ある 5人
⚫️どこの政党を応援するかとか、誰を・・・ではなく、私たちは「どうしたい、どうなりたい?」をもっと同世代の人たちと話していきたいと思います。(今までは「投票に行こう」と言うばかりだったので。)
⚫️今までは議員を出した人に自分達が感じた事や、やっている事を聞いてもらう、要望をする⇒自分の意見が通った、と思っていたが、今日の討議を聞いて、やはり「自分が入っていない」という事に気付いた。(市民参加)
⚫️東京の生活者ネットワークのことは少し聞いたことがありましたが、具体的な取り組み等理解を深めることができました。
⚫️生協運動から実践したりと議員になられた事、そして楽しいこと、目的をもって運動していること、とても大切と思った。
⚫️考えが変わったわけではないが、国↔県↔市お金がおりる。お金が欲しい。日本はこの図式が役所も政党も同じということを改めて認識。だから政治が変らない。市民が討議に参加する。
ない 5人
⚫️ないが、But、より強化された。
⚫️理解が深まりました。
全体の感想
⚫️講師の吉田さんのお話とても分かりやすかったです。福嶋さんが専門的なことをわかりやすく解説してくれたので、理解が深まりました。たくさんの意見が出てよかったです。
⚫️地方議員のできることは議論を活発にする、多様な声を、多くの人々と討論しながら、合意や政策を作ること強く感じました。(委員会では活発に実際討議されている。)
⚫️県議会だよりや市の広報でも、市長との質問、答えのレジメが多く、今日の議会の中で議員が討議し、合意を出すことだとはじめて知った。
⚫️議員同志での議論が深まっていない現実(国会でも町議会でも)をどう改善してゆくのか。住民目線・山陰ネットさーくにおいて日南町でつくるときに参考になることがいっぱいありました。
⚫️品川・生活者ネットワークの皆様の取り組み、実感が生の声で聞けることはより身近にとらえられ、自分事として受け止めるにはよかったと思います。
今までと違ってこのテーマはとてもおもしろかって勉強になった。
⚫️立派な話だった。
⚫️多くの発言がありましたが、最後の吉岡さんのまとめがとても良かった。同意します!地味だけどジワジワ力をつけていく。仲間を増やしていく。そこだと思いました。
⚫️大変面白かったです。
⚫️地域政党の必要性、存在意義がよくわかった。
⚫️国政と地方政治の関係をもう少し討議が必要と思いました。悪政、地方自治破壊は国が押さえつけており、その防波堤となる立場が今ほど求められている時はないと・・・。
⚫️質問と回答の時間を決め、一つのテーマを深堀すべきです。
⚫️品川・生活者ネットワークの当初からの話を聞き、参考になりました。
⚫️政党政治は地方でも必要になっていると思います。(手を挙げる方が多かったので意見はH変えました。)それぞれの政党が住民要求を一緒に勉強し、その代表を出すことは必要であり、今必要なのは他の政党や会派を認め合う、まさに多様性を認めることだと思います。面白かったです。
⚫️地域政党とは何かと思っていましたが、私の身近にあったんだと発見した。だいじにして続けていきたい。
⚫️生活者ネットワークの始まりから現在の活動、これまでの活動内容をお聞きして勉強になりました。
副代表吉岡の感想です
所定の時間を超えて活発な意見交換がされました。
現職の議員や政党関係者の参加も多く、
とても突っ込んだ質問に吉田議員も悩まれる場面がありましたが、
”市民が自分たちで地域政党をつくる”という未知の問題について会場全体で知恵を集め、
一緒に考えるという正に”LABO(研究室、実験室)”にふさわしい場になったと思います。
冒頭で吉田区議が「自分たちが地域政党だと思って活動したことはない」と。
品川・生活者ネットワークさんが、自分たちの生活に根ざした思いをまちの政治に届けようと活動してこられたお話を聞いて、
”市民がまちの課題について皆んなで話し合った結論を代表者が議会に持っていく”ということは実は当たり前のことであって、これこそ民主主義の本質なのだろうと思いました。
そのことを長年実践してこられた組織があることに感動しました。
とは言え、未だ議員間討議もままならない状況に有権者がなんの疑問も持たずに過ごしている現状を変えるには、まだまだ膨大な時間がかかるのかもしれません。
「住民目線・山陰ネットワーク」は、市民が政治に参画するってなんだろう?
民主主義ってなんだろう?を学び考える場をこれからも作り、ジワジワと変えていく市民のつながりを作っていきたいと思います。
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